神戸学院大学地域研究センターにおいて、2011~13 年度にかけて行なわれた文部科学
省私立大学戦略的研究基盤形成事業による「明石大蔵町を中心とした地元との共同作業に
よる町の文化資源の再発見と活用、および未来への継承プロジェクト」研究では、学生が
地域の人々のさまざまな営みを撮影することを念頭において、2011 年度に一眼レフカメラ
を購入した。
これ以降、1 年次後期(第 2 セメスター)の矢嶋ゼミでは、学生が明石市大蔵地域にお
いて写真撮影を行ない、撮影結果を活かした成果を公開する取り組みを行なってきた。ま
た、2 年次以上のゼミにおいても、学生が一眼レフカメラを使用して、大蔵地域で行なわ
れる祭礼や日常の景観を撮記録影してきた
2017 年度の 1 年次後期矢嶋ゼミ(人文学部基礎演習)では、2017 年 11 月 12 日に、宿
場町であり漁村でもあった大蔵地域を歩き回り、環境と営みの歴史を学び、撮影するフィ
ールドワークを行なった。街並みや海岸、地域猫など、課されたいくつかのテーマに基づ
いて学生が撮影し、作品化した。このたび、2018 年度の地域研究センター明石グループに
おいて、大蔵地域において記憶継承の拠点を構築する研究を行なうこととなったことか
ら、この授業の課題として学生たちが提出した写真と解説文からなる作品をまとめ、大蔵
地域の記録として示そうというのが、この PDF 形式の報告刊行の意図である。
以下においては、学生たちが、自らが撮った写真を自分なりの言葉で解説している。そ
れらは、まさに撮りたいと思った大蔵地域の景色を、そのときの光と言葉によって記録し
たものである。学生たちは、大蔵地域の方々にとって通りすがりである。だが、通りすが
りだからこそ気づくこともある。そう思って頂いて、学生たちが残した記憶をご覧いただ
きたく願う次第である。
矢嶋 巌