オンラインくずし字解読講座③

 神戸学院大学地域研究センター明石ハウスでは、Youtube「明石ハウスチャンネル」にて「オンラインくずし字解読講座」を配信しています。第3回は、現在のひらがなとの関係を取り上げます。

ひらがなのご先祖様

 現在使われているひらがなも、変体仮名と同様、字母となった漢字があります。そして、その漢字の崩し方は、決して一通りではありません。
 例えば、「つ」は、字母「川」の3つの画を連綿させ、更に省略を重ねて、現在の「つ」の形になりました。ですが、「川」と「つ」の間に位置する草書の「川」も、昔は仮名の「つ」として用いられていました。

濁点、句読点

 現在の日本語の表記では、濁音で発音する字には濁点を付け、読点を適切に施し、文末には句点を付けるという行為が、当たり前に行われています。しかし、古い時代の日本語の表記には、濁点も句読点もありませんでした。
 1235年に藤原定家が書き写した『土佐日記』の写本(尊経閣文庫本)が伝わっています。これには、濁点・句読点が一切付けられていません。濁点・句読点の発生自体は平安時代まで遡りますが、当時はまだ、一様に広く使われるものではなかったのです。しかし、Youtube「くずし字解読講座」で教材としている『源氏物語湖月抄(げんじものがたりこげつしょう)』を見ると、本文には濁点が付けられています。また、句点・読点の区別はありませんが、意味の切れ目や文末に「●」が付けられています。一方の頭注では、句点・読点が必要な場所に、必ずしも「●」が付けられているわけではありません。
 江戸時代の本は、概ね一般向け・大衆向け、かつ刊行された本に関しては、濁点や句読点が付けられているケースが多いと言えます。必要な箇所全てでなくとも、読者が迷いそうな箇所のみに濁点を付けた本もあります。専門書、あるいは写本となると、濁点・句読点がないものも多く見られます。
 これらはみな、文を読みやすくするための工夫です。日本語の表記の長い歴史の中で、少しずつ整備され、今に至っていることがうかがえます。

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