オンラインくずし字解読講座④

 神戸学院大学地域研究センター明石ハウスでは、Youtube「明石ハウスチャンネル」にて「オンラインくずし字解読講座」を配信しています。第4回は、現在のひらがなを更に省略した字体を取り上げます。

極限まで省略した字形

 現在のひらがなでは、1つの字につきおおむね1つの字形が用いられています。ですが、江戸時代以前のかなに、字形の決まりはありませんでした。漢字に近いものから、現在のひらがなを更に省略したものまで、様々な字形が用いられています。
 例えば、現在の「も」には、横画が2本あります。これを1本にまとめた上で、次の字に続けやすいように下方に伸ばした字形が、昔はむしろ主流でした。他にも、「こと」を書く際に「こ」の2画目を省略する習慣もありました。今回の動画では、このように現在のものよりも省略が進んでいた字形を紹介しています。

「須磨」までの経緯

 『源氏物語』の「明石」の巻は、光源氏が須磨で大嵐に遭う場面から始まります。今回の動画では、そもそも何故、光源氏が須磨に来ていたのかという、1つ前の巻「須磨」に至るまでの経緯を紹介しています。主要な登場人物は弘徽殿の女御(大后)とその妹の朧月夜で、光源氏の異母兄・朱雀帝の母方にあたる右大臣家が深く関わります。
 『源氏物語』の登場人物は大変多く、複雑な関係を織りなしていますので、1つの系図では表現できません。女君の代表格である紫の上、あるいは藤壺女御との話は、須磨退去の経緯との関わりが深くありませんので、今回の動画でも名前を挙げるだけとなってしまいました。この他にも夕顔や六条御息所など、物語に深く関わる女性がいます。光源氏という主人公の人生の上で、いくつものストーリーが同時に進行していく中の1つが、この須磨・明石の物語です。

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