2018年度第3回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。7/20

 2018年7月20日(金)の15時から、第3回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。夏休みワークショップとして、テーマ「『地震の話』実験してみよう!どこまでできそう?地震予知!」を本学人文学部教授大塚成昭が担当しました。
 今回は、これまでの開催とは、やや目的を変えて、地元の小・中・高の生徒さんを対象にしたワークショップ形式にしました。そのため開始時刻も従来の17時ではなく15時としました。また、作業空間や実験道具の数に制限があるので、人数制限をせざるをえず、これまでの完全自由参加ではなく、参加申し込み予約制(先着20名)としました。見学のみのかたについては、これまで通り、部屋の空間が許す限り先着順で入って頂くこととしました。参加人数は、事前予約の小学生7名とその付き添いの方と一般参加者を含め14名でした(写真1)。

大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ18年度第3回
写真1 参加者の様子

 はじめに地震災害の怖さを知ってもらうために平成7年兵庫県南部地震(M7.3)によって引き起こされた「阪神・淡路大震災」の際の災害事例と平成20年岩手・宮城内陸地震(M7.2)の際に発生した大規模な山崩れ(地すべり)を紹介しました。
 つづいて、地震の原因、地震発生の仕組みなど地震現象についての解説をしました。参加者には、プレート境界地震発生模型を操作してもらい、プレート境界地震の起こり方を確認してもらいました(写真2)。

大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ18年度第3回
写真2 プレート境界地震発生模型を使った学習

  地震災害を小さくするための対策についていくつかの方策を紹介した後で、その一つとして、「地震予知」をとりあげました。
 プレート境界地震であれ、活断層で起こる内陸地震であれ、地震発生はばねと錘ブロックで構成される模型(写真3)を使った摩擦すべり現象に似ています。参加者は、この模型を使った地震発生予測(地震予知)実験を行いました(写真4)。

大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ18年度第3回
写真3 摩擦すべりの実験器具
大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ18年度第3回
写真4 摩擦すべり実験の様子

 実験では、最初にバネの先端の位置とブロックの先端の位置の目盛を読み取ります。装置のハンドルを回してバネを伸ばしていくと、バネによってブロックを引っ張る力がブロックと台の間の摩擦力を超えた瞬間にブロックがずれ動きます(写真5)。
 そこで、ハンドルを止めて、バネの先端の位置とブロックの先端の位置の目盛を読み取ります(写真6)。これを何度も繰り返して実行してもらいました。

大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ18年度第3回
写真5 ブロックがすべった後の状態
大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ18年度第3回
ブロックの先端の位置の目盛を読む
大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ18年度第3回
 バネの先端の位置の目盛を読む
写真6 ブロックの先端の位置とバネの先端の位置の読み取り

 もちろん、1回目は、バネがどこまで伸びた時にブロックが動くか分かりません。しかし、2回目は、バネの先端の位置が、1回目にブロックが動いた時の位置に近づくと「そろそろブロックが動きそうだ」と思います。これを繰り返して、「どこまでバネが伸びたら動くか」、「ブロックはどれだけ動くか」を予想してもらいました。そして、「大凡の次のブロックが動く時期(バネの伸び)と「大凡のブロックの移動量」を言い当てることはできる一方で、毎回、ブロックが動く瞬間のバネの伸びもブロックの移動量も異なり、それらを正確に言い当てることは、非常に難しいことを体験してもらいました。

 この実験を通して、地震という自然現象もこのブロックの摩擦すべり現象と類似した現象であり、地殻変動の観測や地震活動の観測などを継続的に行いその変化を監視することで、地震発生の長期予知はある程度可能である一方、直前予知は非常に難しいことを学んでもらいました。
                            (文責 大塚成昭)

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