7月23日(日)、中山ゼミ3年次生が地域研究センターの協力をうけ、稲爪神社社務所で「リア王」リーディング上演を実施しました。
中山ゼミでは2016年度より学生が戯曲を書いて上演する「アタシノアカシ」シリーズを行ってきました。戯曲制作という文学体験を行い、舞台に立つことによって人前に立つ自信をつけ、広報活動やスタッフワークで協調性や社会性を学んでいます。今年は初めての既成台本、しかもシェイクスピア四大悲劇のひとつ『リア王』に挑戦です。神社でシェイクスピア、なんてシブい!!
今回の上演は、学生に「高齢者問題」を身近なものとして考えてもらおうという試みでもありました。台本は伊藤茂本学名誉教授が松岡和子訳「リア王」(ちくま文庫)から、リアのジェンダー意識や女性嫌悪が顕著に表れている部分を抜き書きし、再構成してくださったものです。リアを演じることで学生たちは高齢者の心を知り、相手の立場に立って考える重要性を実感しました。
ゼミ生は全員が出演者としてキャスティングされ、その中の3名はさらに演出家として全体を3分割した1シーンずつを担当しました。またスタッフワークとして舞台監督、音響、衣装とプロジェクトリーダー3名とが協力し合って上演を成功に導きました。
当日は用意した客席がほぼ満席となる盛況ぶりでした。最初に長谷川弘基教授のレクチャーが行われたおかげで、観客はすんなりと物語をうけいれることができました。観客が集中するにつれて出演者も力を発揮し、アフタートークでは演出担当者たちが観客の質問に堂々と答えていたのが印象的でした。
数年続いた感染症がひと段落した中で、今回のリーディング上演は膝を詰めて話し合うことの大切さやその場を共有することの意味を実感させる貴重な機会となりました。また演技の完成度が上がるにつれて学生間の仲間意識も強まりました。演劇を通して、これまで自分にはなかった考え方を知り、チームで一つのものを完成させるという達成感を得ることができました。この仲間意識と充実感は、きっと後期の「アタシノアカシ」上演に活かされることでしょう。
本作は、「抜き書き版・リア王――老いとジェンダー」と題して、9月2日に日本ジェンダー学会(会場は神戸学院大学ポートアイランドキャンパス)で、10月29日に日本応用老年学会(会場は大阪大学)で上演が行われます。観劇ご希望の方は中山までご連絡下さい。fumi@human.kobegakuin.ac.jp