2013年第7回『大蔵谷なう。』を開催しました。10/30(水)

 こんにちは。博士研究員(PD)の吉田佳世です。ずいぶん寒くなってまいりましたが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。私どもがお借りしております明石市大蔵地区の古民家・地域研究センター明石ハウス(通称:大塩邸)にて第7回『大蔵谷なう。』が開催されました。

話題提供者は神戸学院大学人文学部教授の早木仁成先生でした。今回は「人間性の起源を考える」というテーマで、人間に近い遺伝子をもつチンパンジーの生態を通して、私たちが普段人間にしかないと思っている特徴(喜怒哀楽・理性・知性・文化)が、本当に人間固有のものなのかを考えました。

この日も大賑わい。30名(講演者含む)が参加しました。アメリカのブッシュ元大統領の様々な表情とチンパンジーのそれとを比較した写真は来場者の笑いを誘いました。本当にそっくり!ヒトがいろいろな表情を通して喜怒哀楽を表現するように、チンパンジーもいろいろな表情によって喜怒哀楽を表現しているということがよくわかりました。

同じようにチンパンジーの生態を見ることによって、人間にしかない特徴と思われがちな理性・知性・文化も、人間ほど高度に洗練されたものではないけれども、同じようにチンパンジーもこれらの特徴を備えていることがわかりました。とくに、チンパンジーにも食文化の違いがあるという話題は、参加者の関心を刺激したようです。アフリカの西と東で、チンパンジーの食文化がアリ釣り文化圏とナッツ割り文化圏に分かれるという話を受けて、参加者からは「ぜひ、異文化交流してほしいものだ」という面白い意見も飛び出しました。

早木先生の「今、私たちが『人間らしさ』と考えているものの素材は人類誕生以前からすでに用意されていたこと。人間というのはそれを成熟・洗練させた生き物だといえるのではないか。そして、『人間らしさ』が必ずしも良いことばかりではないことも忘れてはいけない」という言葉は、人間も自然の一部であること、そして、「他の動物とは違う」と思い込んでいる私たちの驕りにも気が付けた瞬間でした。
 今後も様々なテーマで勉強会を企画していく予定です。是非、ご参加くださいますようよろしくお願い申し上げます。

                                      (文責 吉田佳世)

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